「時計を手放すなら、質屋と買取店のどちらがいいの?」——質屋と買取の違いは、時計を預けてお金を借りるか、売ってお金にするかです。手元に時計を戻したいかどうかで、向いている方法が変わります。
そこでこの記事では、腕時計を例に、質屋と買取の違いを、質入れの仕組み、法律で決められた期限と利息、質流れの扱い、選び方の順に、中立の立場でまとめました。
この記事のポイント
- 質屋は時計を預けてお金を借り、期限までに返せば時計が戻ります。
- 流質期限は3か月以上で、利息には法律の上限があります。
- 手放すなら買取、一時的な資金なら質入れが候補です。
1. 質屋と買取の違い
まず、2つの違いを表で比べてみましょう。
| 項目 | 質屋(質入れ) | 買取 |
|---|---|---|
| お金の性質 | 時計を預けて借りる | 時計を売った代金 |
| 時計 | 期限までに返せば戻る | 戻らない |
| 費用 | 利息がかかる | 利息はかからない |
| 期限 | 流質期限がある | なし |
このように、質屋はお金を借りる仕組みで、買取は売る取引です。
2. 質入れの仕組み
次に、質入れの仕組みを見てみましょう。質屋営業法では、質屋営業を、物品を質に取り、流質期限までに返済を受けないときはその質物で返済にあてる約束をして、お金を貸し付ける営業としています(奈良県警察「質屋営業法」)。
質入れした人は、流質期限の前なら、いつでも元金と利息を払って、時計を受け戻すことができます(第17条)。
質入れの流れ
手続きは、次の順で進みます。
- 時計を持って店に行き、本人確認を受ける
- 時計を査定してもらい、借りる金額と利率、期限を確かめる
- 質札(または通帳)を受け取り、お金を借りる
- 期限までに元金と利息を払い、質札を返して時計を受け戻す
法律では、物品を質に取るとき、店は質置主の住所、氏名、職業、年齢を確かめなければならないと決められています(第12条)。また、質契約をしたときは、質札または通帳を渡さなければなりません(第15条)。さらに、受け戻すときは、質札を返します(第17条)。条文はe-Gov法令検索「質屋営業法」で確かめられます。
質入れに必要なもの
そのため、質入れのときは、預ける時計のほかに、住所や氏名などを確かめられる本人確認の書類を用意します。保証書などの付属品があれば、査定の材料になるため、一緒に持っていきましょう。なお、法律では、不正品の疑いがある場合、店は直ちに警察官に申告しなければならないと決められています(第12条)。
3. 流質期限と利息の決まり
さらに、質屋営業法には、期限と利息の決まりがあります。流質期限は、質契約が成立した日から3か月未満の期間で定めてはならないと決められています(第16条第2項)。また、質屋は、利率や利息の計算方法、流質期限などを、営業所の見やすい場所に掲示しなければなりません(第16条第1項)。
利息の上限は、質屋の場合、年109.5%(2月29日を含む1年は109.8%、1日あたり0.3%)と読み替えられ、月の初日から末日までを1期として計算します(第36条)。したがって、借りる前に、店に掲示された利率と計算方法を確かめましょう。
利息の数え方に注意
利息の数え方にも注意が必要です。法律では、月の初日から末日までを1期として利息を計算し、借りた期間が1期に満たないときも1期とします。2つ以上の月にまたがるときは、またがった月の数を期の数とします(第36条)。そのため、たとえば月の終わりに借りて翌月の初めに返すと、借りた日数が短くても、2期分の利息になります。借りる日と返す日も考えて決めましょう。
掲示と違う不利な契約はできない
法律では、掲示した内容と違い、質置主の不利益になる質契約をしてはならないと決められています。そのような契約をしても、違う部分は掲示の内容で結ばれたものとみなされます(第16条第3項・第4項)。そのため、掲示された利率や期限は、契約の中身を確かめる手がかりになります。
4. 期限を過ぎると時計は戻らない
そして、流質期限を過ぎると、質屋はその時計の所有権を取得します(第18条)。つまり、期限までに返さなければ、時計は手元に戻りません。そのかわり、質入れは時計で返済にあてる約束の貸し付けなので、時計を手放すことで、借りたお金の返済にあてられます。
なお、質屋によっては、期限の前に利息を払って期限を延ばせる場合があります。
期限を過ぎてしまったとき
ただし、期限を過ぎても、すぐに時計が処分されるとは限りません。法律では、店は流質物を処分するまでは、元金と利息などに当たる額を払った人に、時計を返すよう努めることになっています(第18条第1項)。そのため、期限を過ぎてしまったときは、まず店に連絡して、処分されていないかを確かめましょう。
期限の前に受け戻すとき
また、期限の前なら、いつでも元金と利息を払って受け戻せます(第17条)。受け戻すときは質札を返すため、質札はなくさないように保管しておきましょう。
5. 質屋と買取はどちらがいいか
加えて、どちらを選ぶかは、目的で考えましょう。
- 時計を手放してよい:買取。利息はかからず、売った代金を受け取れます。
- 時計を手元に戻したい・一時的にお金が必要:質入れ。ただし、期限までに元金と利息を返す必要があります。
また、質屋の店でも、質入れではなく、時計を買い取ってもらえる場合があります。売り先の比べ方は腕時計を売るならどこ?で解説しています。
比べるときのポイント
さらに、2つを表で比べると、次のとおりです。
| 比べること | 質入れ | 買取 |
|---|---|---|
| 受け取るお金 | 借りたお金(返す必要がある) | 売った代金(返す必要はない) |
| かかる費用 | 期限までの利息 | なし(送料などは店による) |
| 時計 | 期限までに返せば戻る | 戻らない |
| 手続き | 本人確認・質札の受け取り | 本人確認(取引の金額などによる) |
このように、時計を手元に残したいかどうかと、返せる見込みがあるかどうかで選びましょう。
一時的にお金が必要なときに考えること
質入れを選ぶ場合は、次の点を先に考えておきましょう。
- 借りる金額:返せる金額の範囲にとどめる
- 利息の合計:期限までに払う利息を、掲示された利率で計算しておく
- 期限の管理:流質期限の日を、カレンダーなどに書いておく
- ほかの方法との比較:利息の合計と、時計を売った場合の金額を比べる
そのうえで、返せる見込みが立たない場合は、買取も比べて考えましょう。
6. 質入れするときの注意
最後に、質入れする場合は、借りる金額と利息、期限を確かめ、返せる見込みを立ててから決めましょう。期限を過ぎると時計は戻らないため、思い入れのある時計ほど慎重に考えましょう。
預けている間の時計の扱い
また、法律では、災害などで質物がなくなったり壊れたり、盗まれたりした場合、店は遅れずに質置主に知らせなければならないと決められています。さらに、店の責任でそうなった場合の損害賠償を、前もって放棄させる契約はできません(第19条)。そのため、預ける前に、時計の状態を写真に残しておくと安心です。
7. 質屋と買取の違いに関するよくある質問
質入れした時計を途中で売ることはできますか。
質入れ中の時計は質屋に預けているため、まず元金と利息を返して受け戻す必要があります。受け戻したあとであれば、売ることができます。
利息はいくらかかりますか。
法律で上限が決められていて、実際の利率は店ごとに違います。店に掲示された利率と計算方法を確かめましょう。
質流れになったら、借りたお金はどうなりますか。
質入れは、期限までに返さないときは時計で返済にあてる約束の貸し付けです。そのため、期限を過ぎると時計は質屋のものになり、借りたお金の返済にあてられます。
質札をなくしてしまいました。
まず、預けた店に連絡しましょう。法律では、店は、受け取りに来た人が正当な権限のある人かを確かめてから時計を返すことになっています(第17条第2項)。そのため、本人であることを確かめられる書類を持って相談します。
期限を延ばすことはできますか。
店によっては、期限の前に利息を払うと、期限を延ばせる場合があります。条件は店ごとに違うため、預けるときに確かめましょう。
手放してよい時計なら、どちらがいいですか。
買取は利息がかからず、売った代金をそのまま受け取ります。一方、質入れは、返すときに利息がかかります。そのため、手放してよい時計なら、買取の見積もりと比べて考えましょう。
本人以外が受け取りに行けますか。
店は、受け取りに来た人が正当な権限のある人かを確かめてから返します(第17条第2項)。そのため、本人以外が受け取る場合は、前もって店に相談しましょう。
質入れの期限は、どのくらいですか。
法律では、流質期限を、質契約が成立した日から3か月未満の期間で定めてはならないと決められています(第16条第2項)。実際の期限は、店に掲示された内容で確かめましょう。
まとめ:質屋と買取の違いは「預ける」か「売る」か
まず、質屋は時計を預けてお金を借りる仕組みで、買取は時計を売る取引です。次に、質入れには3か月以上の流質期限と、法律で上限が決められた利息があります。そして、時計を手元に戻したいかどうかで選び、質入れなら返せる見込みを立ててから決めましょう。
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公開日 2026.10.17 / 更新日 2026.10.17
※本記事は買取に関する一般的な情報を中立の立場で提供するものです。利率や期限などの条件は、質屋により異なります。運営者情報・古物営業法に基づく表記はサイトフッターをご覧ください。
※出張買取(訪問購入)を利用する場合、腕時計は特定商取引法に基づくクーリング・オフ(8日間)の対象です(消費者庁「訪問購入」)。

